【番外編(鉄道ネタ)】MV30からMV50への更新を観察。(2017/12/7 南古谷駅MV30更新)
今月7日、南古谷駅(JR川越線)の指定席券売機がMV30型からMV50型に置き換えられました。
まずMV30とはなんなのか、MV50とはなんなのか、知らない方のために軽く説明しておきます。
主な違いは印字方式です。
一言で表すと、MV30は熱転写式、対してMV50は感熱式です。
熱転写とは何なのか、感熱とは何なのか、ということですが、簡単に言うと切符に文字を転写して印字するのは熱転写、熱で切符に文字を浮かび上がらせるのが感熱です。
熱転写の印字は綺麗な黒字、ピンとした切符となり、感熱は赤みを帯びた文字に少し丸まった切符となるといった違いがあり、熱転写を求めて奔走する”切符鉄”がしばしば見受けられます。
というのも、MV30のほうが古く、新しいMV50に順次置き換えが始まっているのです。
MV30以外にも、MV35というものもありますが、こちらには3種類あり、「熱転写のMV35」「クレジットカード専用のMV35(MV35C)」「感熱のMV35(MV35D)」といったもので、MC35Cはクレジットカード専用のため仕様が異なり区別がつきますが、MV35とMV35Dの区別は発券しないとつかないと言った点で、熱転写が確実に入手できないリスクがあります。
MV35もいずれ置き換えの対象となりますが、まずはMV30の置き換えから行われています。
埼玉県内に残るMV30はたったの5駅まで数を減らしており、その中の2駅である日進は今週中(明日の予定)に、指扇は来週中に更新を予定しているため、年を越せるMV30は3駅ということになります。
また、熱転写のMV35も数は少なく、残り3駅となっています。
そんな中学割も発行できた(基本はできない)南古谷のMV30が置き換えられてしまったわけです…
南古谷のMV30は私自身思い入れが深く、というのも熱転写の沼にハマったきっかけがこの駅だったからなのですが、置き換えの話を聞いた時、相当落ち込みました。
願わくば県内で最後まで、JR東で最後まで残っていたMV30が南古谷であってほしかった…
私の落胆や前置きはこのくらいにしておおいて、MV30の置き換えの観察録をまとめることとします。
思い入れのある南古谷のMV30の最後の最後まで見届けたいという思いで、今回観察を決行しました。
これが南古谷のMV30(発行箇所表記:南古谷駅MV1)です。
この日、南古谷の指定席券売機はいつも通り6:40頃〜営業を開始した後、、9:30に営業を終了し、機器更新後、17:00〜再度稼働といったスケジュールでした。
9:35頃には写真のようにカラーコーンで囲われ、MV自体は取扱中止の状態に。
工事作業は沖電気が請負。沖から10名弱、作業員さん(と責任者?さん)が来ていました。
その他にJEIS(※JRのシステム系の関連会社)から2名、NECから1名、結構狭い南古谷駅に集結していました。
輸送トラックに積まれたMV50。
10:00頃には既にこれらをトラックから下ろし、作業を開始する準備は整っていましたが、色々な事情があるらしく予定の10:30にならないと作業に取り掛かれないとのことで作業員さん達は暇そうに待機。
10:30過ぎ、撤去準備が始まります。
接着剤などを取り除き、MV50の導入に備えます。
奥に見える画面のついたものがMV50の本体です。
今月3つあるMV50への置き換えに使うものがすべて積まれた状態なのでしょうか?複数台ありました。
右端のものをトラックから下ろします。
(※プライバシーのため画像は一部加工しています)
台車に載せて転がし、一旦トラックの横へ。
(※プライバシーのため画像は一部加工しています)
11:10頃、MV30の撤去が始まりました。
指定席券売機だけでなく短距離券売機も同様ですが、壁に穴が空いていて、裏から機械をはめ込むという形なので、客側、裏側両方に作業員さんがつき、ゆっくり撤去していきます。
トラック横に置かれたMV50。
その横に段ボールが置かれ、その中にはキーボードなど、裏側で使うと思われるものがいくつか入っていました。
12時前にはMV30の撤去が完了。
トラックに積み込まれる時の様子です。
(※プライバシーのため画像は一部加工しています)
トラックの奥に独り寂しそうに置かれたMV30。
こう見ると裏側の画面も大きく、MV50が管理面でも優れていることは明らかですが、やはり寂しい…
MV30がいなくなり一時的に何もなくなった1番の切符売り場。
MV50の設置まで厚紙で覆われていました。
裏側に置かれていたのであろう「MV30用保守部材」。
段ボールのボロボロさがMV30の歴史を物語っています。
作業員さんのお昼休憩を挟み、13:40頃、MV50の設置が完了しました。
もちろん設置してすぐなので裏側の設定などもまだの状態。通電もしていません。
MV50設置直後の切符売り場全景。
その後、作業員さんが「本当はぴったり合うように設計するもんなんですけどね〜」とJEISの人と愚痴をこぼしながら穴とMVとの隙間を埋める作業を。
まずはMVが汚れないようにビニールテープで覆います。
その後、石膏?を隙間に詰めていきます。
(※プライバシーのため画像は一部加工しています)
隙間を埋め、ビニールテープを外した状態。
とはいえまだ固まってはいないので、MV下部に養生テープが貼られています。
ちなみに後ほどあった話ですが、「これは翌日まで剥がさないでください」と作業員さんに駅長が釘を刺されていました。
その後、通電。
MV右上の鍵穴に鍵を差し込み、回して「保守員操作メニュー」を開きます。
青いマニュアルに則って色々設定していました。
ちなみにこのマニュアル、↓の赤い機体で説明書きされていました。
(出典:JEISサイト)
作業員がいなくなり、取扱中止表示。
時々画面は消灯。紙幣を吸い込む時の音などがしていたのでMV自体の電源は入っていたようですが。
そして予定の営業開始の1時間前にあたる16:00頃、アイキャッチャー(画面上の「発売中止中」と表示されているところ)が点灯します。
もう一度作業員さんが客側で「保守員操作」を実行。
アイキャッチャーの確認作業が行われました。
その後、沖の責任者?のような人が全国ICのステッカーを貼付。
MV30には全国ICステッカーは貼られていなかったため、とても新鮮な心地でした。
営業開始前のMV50。
見えているのは駅長の左腕です。
時計を見てわかるように、予定より10分弱早い16:52頃の様子です。
この直後に営業が開始します。
予定より10分早い16:50より南古谷のMV50が稼働。
— 川越駅MV74 (@MV__74) 2017年12月7日
発行箇所は「南古谷駅VF1」。 pic.twitter.com/5cqfTaHZD3
営業初切符を発券した際の様子です。
記念発券もしましたが、一番最初は実使用の切符を発券させてやりたいなと思い、この形で発券しました。
ちなみに記念発券したものはマルス設置駅まとめに画像アップしています。
営業開始直後のMV50。
新たな発行箇所は「南古谷駅VF1」となりました。
ちなみに、
MV30→○○駅MV○
MV35→○○駅V○
MV35C→○○駅C○
MV35D→○○駅D○
MV50→→○○駅VF○
MV50C(MV50のクレジットカード専用機)→○○駅FC○
などと、発行箇所でも機種を区別できます。
MV50営業開始直後の切符売り場全景。
またひとつ、熱転写が姿を消しました。
いつまで残ってくれるのか、なるべく長くあってほしいものです…
3,000文字を超える長い記事となってしまいましたが、普段は夜間に行われるこのMV30からMV50へと世代交代するところを日中に見ることのできた、貴重な機会だったので記事にしてみました。
質問・ご意見などありましたら、コメントまでどうぞ。
皆様のご参考になれば幸いです。